LONG INTERVIEW

いい大学に行けば、
選択肢が広がるわけじゃない。
英語科教員
Momona Kurokawa
〈プロフィール〉
大学在学中にイギリスリーズ大学に留学。コロナ禍で帰国後、外資系医療機器メーカーに入社。その後、教育系進路教材開発企業に転職。2025年4月、井之頭学園に入職。キャリアプロジェクト担当マネージャーとして活躍中。
ふたり姉妹で、姉がすごく真面目で努力家だったのですが、私はあまり勉強に一生懸命になれず。美術だけは好きだったけど、勉強もやり方がわからないし得意な科目もない。くよくよしてて心配性な子どもでした。
でも、中学校の時、たまたま、ことわざが好きでたくさん覚えてたら、国語の先生がすごくほめてくれて。「ひとつでも武器になるものがあれば、それがあなたの武器になるから」って言って下さったんです。そこから、興味を持ったことをひとつずつやればいいと思えるようになり、勉強に力を入れられるようになりました。私立の中高一貫校でしたが、他にも、今でも忘れられない先生方との出会いがありました。中学高校の6年間で、どんな先生と出会えるかって、人生を変えるぐらいの力があるんですよね。
慶応大学文学部に進んで教育学を専攻したのも、そんな先生方との出会いがあったからだと思っています。学生時代は楽しかったんですが、いざ、就職活動を始めようとした時に、やりたいことが明確じゃなくても、まず大手企業から受けていく周りの就職活動に疑問を持ったんです。大学の雰囲気として、みんながいくところじゃないとこを選びにくくなるというか。偏差値の高い学校に行けば、選択肢が広がると思ってたのに、実際はそうじゃなかった。そこで、ボランティア活動で参加していたNPO法人の先輩に相談すると、「留学行っておいでよ、価値観変わるよ」とアドバイスを貰って、イギリスの大学に留学しました。

イギリスの大学には、本当にいろんな学生がいました。子どもの頃、家の近くで爆撃があったという留学生。自国の情報統制について話してくれる留学生。もちろん、現地のイギリス人ともたくさん話しました。向こうでは、誰一人、大手企業に行かなくちゃ、って思ってる人はいなくて、自分らしさを活かして、自分のいきたいところにいくんです。ローカルで生きたい人はローカルでいいし、グローバルがよければそういう進路を目指せばいい。「エントリーシートまず50枚出して」とか、誰も思ってないんです。私は、教育学専攻だったので、「教員にならないのはどうして?教育系企業を受けないのはなぜ?」と、まず聞かれるんですよね。もう、本当に驚きでした。イギリスでみんなと話す中で、本当は先生になりたいけど、自分が教壇に立つ自信がなかったんだと気づきました。
そこで、まずは一般企業で社会経験を積むことにしました。帰国後は、外資系医療機器メーカーと、教育系の教材開発企業を経験。1年間の臨時採用教員を経て、2025年4月に英語科教員として入職しました。前職の知り合いから「これだけ変わろうとしている学校は他にないよ、面白そうな学校があるよ」と聞いたことがあり、ずっと気になっていたというのが理由です。
偏差値にとらわれずに、自分の好きなものを大事にする学校。私自身も、尊敬している人は、偏差値の高い学校出身に限らず、たとえば、音楽がすごく大好きだったり、スポーツや芸術に造詣が深かったりする人。ひとつでも自分が頑張れるもの、自信が持てるものがあれば、それが勉強でなくてもいいんじゃないかとずっと思っていたので、学校改革の方向性は私にピッタリでした。
今はまだ急成長の途中の組織なので課題もあります。今はキャリアプロジェクトのマネージャーとして、生徒が、将来どんな仕事に向いているか、どんな価値観なのかなど、自分を知るということを様々な体験を通して学ぶ、「戦略的偶発性」を生むコンテンツを作っています。通常の英語の授業とは別に、先生方がプロジェクトを持って能動的に動くことは、忙しくて大変だけど、新しい教育を作っているという実感があるので、やりがいがあります。

